◆空き家を相続したらどうする?
売却・活用・放置・・・あなたの選択が未来を変える
税金と控除制度で損しないための基礎知識
「親の家を相続したけど、空き家のまま放置している…」
そんな方が近年増えています。空き家は放置すると資産価値が下がるだけでなく、税金や管理の負担も大きくなります。今回は、空き家を相続した際に知っておきたい税金と控除制度について、わかりやすく解説します。

✅ 相続した空き家にかかる税金とは?
空き家を相続すると、まず「固定資産税」が発生します。誰も住んでいなくても、土地と建物の所有者として毎年課税されます。さらに、2024年からは「相続登記の義務化」が始まり、登記を怠ると過料の対象になる可能性も。
(※過料とは、法律上の義務違反に対して科される行政罰の一種であり、刑罰ではなく、 前科がつかない金銭的な制裁です。)
- 固定資産税・都市計画税
所有している限り毎年課税
空き家であっても、所有している限り「固定資産税」と「都市計画税」が毎年課税されます。
- 固定資産税:評価額 × 1.4%(標準税率)
- 都市計画税:評価額 × 最大0.3%(地域による)
特定空き家に指定されると税額が増加
管理不全な空き家は「特定空き家」に指定される可能性があり、住宅用地の特例が解除されると、固定資産税が最大6倍になることもあります。
- 相続税
どんなときにかかる?
相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産を受け継いだときに発生します。空き家もその対象です。
計算方法
相続税は、以下の計算式で求められます:
課税遺産総額 = 相続財産の総額 − 基礎控除額
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続財産が8,000万円で、相続人が2人(配偶者と子)なら:
- 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
- 課税遺産総額:8,000万円 − 4,200万円 = 3,800万円
この課税遺産総額を相続人の法定相続分に分け、税率をかけて算出します。
- 申告期限
相続税の申告・納付は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」です。遅れると延滞税や加算税が課される可能性があります。
- 売却時の譲渡所得税
- 売却益に対して課税
空き家を売却すると、譲渡益(売却価格 − 取得費・諸経費)に対して所得税・住民税が課されます。
- 最大3,000万円の控除が受けられる特例
一定の条件を満たすと「空き家特例」により、譲渡所得から最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円)を控除できます。
主な適用条件:
- 昭和56年5月31日以前に建築された住宅
- 相続前に被相続人が居住していた
- 相続後に事業・賃貸・居住に使っていない
- 売却価格が1億円以下
- 相続から3年以内に売却
- 耐震改修または取り壊し済み
この特例を使うには、確定申告が必須です。取得費が不明な場合は概算(売却価格の5%)で計算されますが、税額が高くなる可能性があるため注意が必要です。
| 税金の種類 | 内容と注意点 |
| 相続税 | 相続開始から10ヶ月以内に申告。基礎控除あり。配偶者には軽減特例も。 |
| 固定資産税・都市計画税 | 所有している限り毎年課税。特定空き家に指定されると軽減措置が解除される可能性あり。 |
| 譲渡所得税 | 売却益に課税。空き家特例で最大3,000万円控除可能。確定申告が必要。取得費不明は概算計算。 |
空き家の相続は、放置すると税負担が増えるだけでなく、近隣トラブルや資産価値の低下にもつながります。早めの相談と制度の活用が、損をしないための第一歩です。
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